最近ロボットアドバイザーを勧める声と、経費率が高いからやめておけという声があるかと思います。
表計算アプリ「Google スプレッドシート」を利用したポートフォリオ管理方法を紹介するとともに、
それについて私も思うところがあるので書きたいと思います。
アセット・アロケーションをGoogleスプレッドシートで管理しよう
GoogleスプレッドシートはGoogleアカウントを持っていれば利用でいます。
取得方法や利用方法は割愛させていただきます。
まず、スプレッドシートでこのような形の表を作成します。

公開しておいてなんですが、表作りは上手くないので恥ずかしいです。
Google スプレッドシートのサンプルは下記のリンクから
◆さっくり解説
1.まずこのスプレッドシートのような形の表を、自身のGoogleスプレッドシートで作成します。
※スプレッドシートをコピペでもレイアウトとグラフ以外の計算式はコピー可能です。
2.「投資予算を入力」に運用金額を入力すると、「資産割合」で設定した配分で予算が分配されます。
3.「コード」に株式のティッカーコードを入力すると「現在の株価」を自動取得できます。※米国株限定の機能。
4.「平均取得価格」と「保有株数」は株式を購入後、証券口座の情報を元に入力できます。
※ここまで入力すると計算に必要な情報は揃うはずです。
5.「リバランス情報の売買株数」は、
アセット・アロケーションの目標割合と現在保有している資産の割合から、
乖離している金額を埋めるための株数を計算したものが表示されます。
プラスなら不足している株数を買増し、マイナスなら多い分を売却するだけです。
※このリバランスの計算を簡単にするための表です。
追加投資をする場合は「投資予算を入力」の運用金額を増額させ、それぞれ「売買株数」を買い付ければ良いです。
ロボットアドバイザーがやってくれること
ロボットアドバイザーは、お金を預けることでAIがいい感じに分散投資し、
資産運用をしてくれるという触れ込みで広まっています。
とはいえ、現状のロボットアドバイザーがやってることは主に2つで、
1.アセット・アロケーションの構築
2.アセット・アロケーションの保持(リバランス)
でしかないと認識しています。
「アセット・アロケーション」とは「資産配分」のことです。
株式、債券、不動産、ゴールドといった異なる資産に分配し、トータルの収支で運用益を目指します。
それぞれの資産で期待されるリスク(振れ幅)・リターン(収益)が異なり、
異なる資産を組み合わせることで資産の変動幅を抑えてリターンを高めることができます。
そしてアセット・アロケーションを一定の割合に保つために売買する行為が「リバランス」です。
運用を続けているとそれぞれの資産価格が増減していきバランスが崩れていくので、
相対的に高くなった資産を売り安くなった資産を買うことで、
リスク・リターンを元の形に戻します。
ロボアドは、利用者への質問から許容できるリスクを算出し、
それに見合う「アセット・アロケーションを構築」し、
「定期的にリバランス」をしてくれる、というだけのものだと認識しています。
これだけならばそれほど難しいことはしないので自身で管理可能です。
ロボアドに対する私の考え
ロボアドには賛成派と不要派の意見があります。
賛成派の意見は「初心者でも手軽」とか「自分で管理すると狼狽する」といった意見があります。
不要派は、アクティブファンドのように流動的に資産を運用してくれるわけではなく、
米国株ETFで購入し一定割合を維持するだけならば個人で行っても難しくないので、
投資金額の1%という高い経費率をかけてまで委託するのは不要という意見です。
タイトルから想像できるように、私は現状ロボアド不要派です。
年間の経費率1%は高いと思います。
例えば運用資産が1000万円になったら毎年10万円も取られます。
インデックス株式投資の年平均リターンは7%程度ですから、運用資産の1%を払ってしまったら利益の14%を費用として支払う計算になります。
また、ETFの割合を管理するだけならば、このようなGoogle スプレッドシートで簡単に行えてしまいます。
それに投資への理解がなくお金を預けていたら下落時にはやはりパニックを引き起こすと思います。
勉強した上で納得し、投資をすることが継続には必要でしょう。
賛成派になってロボアドを持ち上げて、アフィリエイトリンクを貼ればワンチャン収益が生まれるかもしれませんが、
現状では毎年投資金額の1%という経費率をかけてまで利用する価値は無いと考えています。
ロボアドがアリになるためには
ロボアドがアリになるためには経費率を0.2%程度まで引き下げる必要があると思います。
この水準ならばETFの経費率(0.1%程度)も含めた総経費率が0.3%程度になり、
今どきのバランスファンド(投資信託の一種)並の経費率にまで下がります。
ここまでこれたなら手のひらを返します。
伝統的な投資法の株式と債券を組み合わせたインデックスバランスファンドは色々ありますし、
コストも非常に低く抑えられていますからそれを購入すれば事足ります。
ロボアドは投資信託より柔軟なアセット・アロケーションを組むことができ、
バランスファンドにはあまりないゴールドや不動産を組み入れられます。
しかしこれらの資産を組み入れなくても十分なリスク分散がされていると思いますので、
バランスファンドと同じくらいの経費率にならなければ利用する価値は薄いです。
自身でポートフォリオを管理するために学ぶべきこと
自分でポートフォリオを管理するためにはやはり学ばなければなりません。
「アセット・アロケーションの決め方」「資産クラスへの理解」「債券と金利」「投資信託」を。
20時間、30時間検索して読み続ければ自分の中で理解が形になるはずです。
「アセット・アロケーション」
アセット・アロケーションは株式がメインで債券は保険。
株価が暴落する時に債券価格が上がる傾向があるので、株価が暴落したら債券を売って株を買う(リバランス)。
株式100%でも全然構わないがそのぶん値動きが激しくなる。
最初は株式100%で積み立てをし、資産が増えて守りに入るときや金利が上がった時に債券を増やすと良いと考えている。
GPIF(年金)は日本株式・債券、外国株式・債券の4種類を25%ずつ保有。
ただこれは日本の株式と債券の比率が高すぎると思う。日本市場は世界全体の10%もない。
リスクの高い株式は30%程度で債券を中心にしたレイ・ダリオ氏の「オールウェザーポートフォリオ」のように安定特化の考え方もある。
「資産クラスへの理解」
資産クラスへの理解とは株式・債券・ゴールドの仕組みや歴史など。
● 株式は長期的に上がり続けており、インフレによりお金が増え続けて株価も上がり続ける可能性が高い。
● 債券は購入した時点での利回りで将来のリターンが確定するので将来を予測しやすい。
ただし現在のような超低金利で購入するとインフレ率の方が上回る可能性が高いので実質的なリターンはマイナスになる。
一般的な種類として国が発行する「国債」と企業が発行する「社債」があり、国債の方が安全な分低金利。また長期のほうが利回りが高い。
インデックス投信の債券は基本的に国債。
長期国債や投資適格社債(高格付けの社債)は利回りが債券の中では高く、株価の暴落時でも価格の回復が早いので良い投資対象だが、購入手段が米国ETFくらいしかない。
ジャンク債(格付けの低い債券)は利回りが高いが、肝心の不景気時に倒産するリスクも高いので、クッション材としての役目が果たせない。
新興国債券はインフレで通貨価値が目減りするので見た目の利回りほどリターンが得られない。
● ゴールドはそれ自身が生み出すリターンはゼロでその価値を担保するものもない。
ただ数千年間人々が貨幣として利用してきた歴史があり、多くの人がいまだ価値を感じている。
アメリカで金融緩和を実施した時(ドル安)に急激に値上がりし、景気が回復する(ドル高)と下落していく傾向がある。
円建てで見たゴールドは金融緩和で急激に上がった後わりと横ばいが続いている(BullionVault・金地金チャート)
円建てのゴールドは19年間で6倍まで値上がりしているのでリターンは高い。
「債券と金利」
債券と金利を学ぶと、債券は購入のタイミングが重要であると考えさせられる。
金利が上がると債券価格は下がって利回りが上がり、金利が下がると債券価格は上がり利回りが下がる。
現在は世界中の金融緩和で債券価格が高く(利回りが低く)、10年米国債利回り1%弱では上昇余地がほとんどない。
マイナス金利という異常な政策を除けば債券価格は利回りが0%になるところが通常上限になる。
金融緩和が終了し始めて債券利回りが上昇するであろう2022年以降にTLTやLQDを買いたい。
「投資信託」
投資信託は配当金を出さないタイプ(無分配型)だと売却まで国内課税(譲渡課税)がされないので、計算上はETFより効率の良い運用ができる。
また売買時のコストが無料で1円単位で調節でき、定期買付・定期売却ができるので非常に便利。
ただ人気でもイマイチな商品が多いので、信託報酬や分配金についての知識を得て、自身で良い投資信託を見極められるようになる。
信託報酬の低い(0.4%くらいまで)インデックス型は投資信託の方が効率が良く、「高配当」「ESGs」「クラウド・AI」といったテーマ型はETFを利用した方がコストが安い傾向。
これらを一つ一つ調べていくのは時間がかかりますが、一生使える知識です。
学ばずに高い手数料を支払続ける方がよっぽど損です。
学ばなければ株式リターンの年平均7%のうちの1%、リターンの14%を支払い続けるんですから。
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