暗号通貨の価値として、最近、このような意見を目にするようになりました。
「途上国の人は高いインフレ率でどんどん目減りする自国通貨を信用していない。
だから米ドルなどの紙幣に両替したがっているが、入手が難しい国もある。
だから暗号通貨に資産を逃して価値を保つための需要がある。」
というものです。
一見納得してしまいそうですが、1つ疑問がありませんか?
「いったい、誰がその通貨と引き換えに暗号通貨を売ってくれるんだと。」
自分だったら「そんな通貨は要らん。米ドルかユーロを持ってこい。」と思いますが、
どうやらそんな地域でも暗号通貨の交換所は機能しているようです。
途上国として考察の対象に選んだのは「ベネズエラ」。
『ベネズエラのインフレ率、7000%超に「鈍化」 物資不足は依然深刻(2020年01月14日|JIJI.COM)』
というニュースになるほどインフレが続いています。
ベネズエラの言語はスペイン語とのことなので、
グーグル翻訳で「日本語→スペイン語」を選んで
「ビットコイン ベネズエラ 入手方法」→「Bitcoin cómo llegar Venezuela」
と変換して検索開始。
Google Chromeの翻訳機能を利用して探していくところ、3ページ目に販売所を発見。
こちらの取引所がどれだけ利用されているのかは不明ですが、こちらのデータを用いて見ていきます。
■ 1BTCあたりの売買レート(VES:ベネズエラ ボリバル)
※2020/9/27 15:50頃のレート
● ベネズエラの販売所では、購入時と売却時のスプレッドがめちゃくちゃデカイです。
通貨単位 | 購入 | 売却 | スプレッド |
---|---|---|---|
VES | 5,000,755,479.41 | 4,287,683,063.01 | 14.26% |
米ドル換算 | 12,536.89 USD | 10,749.22 USD |
● アメリカの取引所(Coinbase)と比較しても、15%近いプレミアムが上乗せされています。
ベネズエラの販売所での購入価格 | アメリカの取引所での購入価格 | 価格差 |
12,536.89 USD | 10,668.50 USD | 14.90% |
● 日本国内の販売所(bitFlyer)で売買する場合は約3%のスプレッドで済みますから、いかにベネズエラの取引所のスプレッドが大きいかがわかると思います。
購入 | 売却 | スプレッド |
1,145,299 JPY | 1,111,068 JPY | 2.99% |
● 「USD→VES」1ドルあたりの為替レートを見てみると、1年間で約1/16にまで下落しています。
2019/9/27 20,881 VES
2020/9/25 333,333.33… VES
※チャートは「VALUTA FX ベネズエラ ボリバル 為替レート履歴」より引用
真っ直ぐな通貨安ではなく、ある日を堺に突然下がる様子。
以上のことから、ベネズエラのようなハイパーインフレをしている国では、14%の上乗せ価格を払ってでもビットコインを持つ理由はありそうです。
通貨に不安のある新興国の人々が暗号通貨を持つ有用性は理解しました。
でも、日本に住む我々が持つ必要性があるのかというと…?
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