2015年のドル円120円台をピークに再び徐々に円高が進行しています。
そのため特に外国株へ投資している人たちから、円高トレンドに嘆きの声を聞くことがあります。
しかし私は今後も長期的に円高・ドル安トレンドは終わらないと考えています。
その理由を2つ説明します。
円高・ドル安トレンドが続く2つの理由
私の知りうる範囲では、日本の経常収支が黒字であることと、
国際的に低いインフレ率が原因で円高・ドル安が続くと考えています。
経常収支の黒字が原因で円高になる可能性
経常収支とは国全体での「貿易の輸入輸出金額の差」、「旅行等の活動で流出・流入したお金の差」、
「投資の利払いによる収入・支出の差」を表したものです。
日本は経常収支が世界トップクラスの黒字なので、海外からどんどんお金が入ってきます。
収支が黒字と聞くと良いことのように聞こえてしまいますが、
得た外貨を円に変える力が働くため、長期的に円高要因になります。
ただ、円転せずに外貨のまま保有し、そのまま外国に投資される話もあるので、必ずしも円高になるわけではありません。
また、今も日本企業が積極的な海外投資を継続しているという話もあるので、円高圧力は弱められています。
一方で、アメリカは昔から巨額な赤字を垂れ流しているので、今後もアメリカ・ドル(米ドル)安が継続すると考えられます。
アメリカはどんどん外からお金が入ってくるためその分利払いも増えて支出が増大します。
米ドルに関しては特殊で、世界では米ドルで借金している人・機関・国が多いため、ドル高になると返済に困る(デフォルトする)と言われています。
そのため米ドルは安くなる方が国際社会にとって都合が良く、相対的にやはり円高に向かうと考えられます。
たしか教科書にも「アメリカの双子の赤字がうんぬん」と書いてあった気がします。まったく覚えていませんが。
インフレ率の差・購買力平価説で考える
インフレとはお金の価値が減り物価が上昇していく現象です。
インフレ率の高い国はそうでない国と比べ、相対的にお金の価値が目減りしていくのが早いと言えます。
近年のアメリカのインフレ率はおよそ2%前後、対して日本のインフレ率は0.5%前後のため、
低インフレの日本円は米ドルに対し徐々にドル安円高に向かうと予想されます。
また購買力平価説で考えると、同一の商品はどの国でも同じ価格であると考えられています。
例えばアメリカでの物の価格が1ドルから1.02ドルへ2%上昇したら、その分円高に向かわないと均衡が取れません。
反対に国内の物価が102円に上昇したら、その分円安になると考えられます。
価格(円) | 価格(ドル) | 為替レート(1ドル) | 補足説明 |
---|---|---|---|
¥100 | $1.00 | ¥100.00 | – |
¥100 | $1.02 | ¥98.04 | ドル建ての物価が上昇した場合、円高になる |
¥102 | $1.00 | ¥102.00 | 円建ての物価が上昇した場合、円安になる |
¥102 | $1.02 | ¥100.00 | 両方の物価が同等に上昇した場合は為替レートに影響しない |
まぁ実際にそうなっているかというとそうでもない気がしますが、考え方としては一理あるとは思います。
世界各国はインフレ目標を2%に設定しています。これは日本も同じです。
しかし度重なる増税や保険料の増額で可処分所得が減少していますし、
高齢化や人口減少で消費活動が年々抑制されています。
そのためインフレ率は今後高く見積もっても1%止まりではないかと予想しています。
円高円安を繰り返しながらも、インフレ率の差によって徐々に円高に向かうのではないかと思います。
このように円高になる要因が存在するため、円高トレンドは避けて通れないと考えています。
基礎的な知識のつく参考資料
・為替のきほん(au じぶん銀行)
為替とはどういうものか説明されています。
・コラム:「非常時のドル買い」で悲鳴を上げる新興国通貨(ロイター)
新興国は長年のドル安の恩恵を受けているという説明がされています。
・海外投資で稼ぐようになった日本企業の「日本離れ」を防ぐ方法(ダイヤモンド・オンライン)
日本企業は外国への投資をなお拡大し、国内にはお金を戻していないという説明がされています。
あとがき
為替に関しては5年ほど前にFXをやった時に勉強しまし、その時の知識をベースに記事を作成しました。
昔FXは「高金利通貨を買うスワップポイント投資」とかもてはやされていましたが、
少し勉強すれば「高金利通貨は減価する」という事実にぶち当たります。
長期的にスワップポイントで儲けることは不可能ということです。
「高金利」ということは「インフレ率が高い」ということを表すので、
お金の価値がどんどん毀損していくので当たり前のことなんですね。
そして米ドルも日本円からしたら相対的に少し高金利なので、徐々に円高・ドル安が進むと考えています。
そのため、残念ながら為替レートによって投資リターンが押し下げられてしまいます。
しかし、米国株への投資リターンは他よりも高いことが期待でき、
為替リスクよりもリターンへの期待が大きいので、投資をしないという結論には至りません。
ちなみに日本株なら為替リスクがないと考えてしまうかもしれませんが、
海外投資に積極的な分、円高になると収益が落ちるので、やはり為替の影響を受けやすいです。
米国株投資は長期的な円高・ドル安トレンドを受け入れつつ、恩恵を受けれたらいいなと思います。
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